yamachan blog  (社会派うどん人の日常)

コシのつよいうどんのような、歯ごたえのある記事をお届けします。

非正規雇用、本当は何人? 〜統計は何のため〜

本日の日経新聞より、気になるニュース

 

「非正規雇用、本当は何人 統計40超、100万人の開き」(日経新聞.2013.11.18)

(*リンク先は有料電子版)

 

働く人の3割を占めるとされる非正規雇用は何人いるのか。

パートやアルバイト、派遣など多様な形態があり、待遇の改善や的を絞った支援策を練るには正確な実態の把握が欠かせない。

ところが政府の関連統計は約40もあり、定義や範囲がバラバラだ。政府内で横断的に統計を見直し、使いやすくする取り組みが遅ればせながら始まった。

 

見出しで少し驚いてしまったのだが、

よくよく考えると、企業に対するアンケートである「毎月勤労統計」と、労働者アンケートである「労働力調査」では、残業時間の数値が異なることを思い出した。

(*数値のズレの最大要因は、いわゆる「サービス残業」)

 

これと同じような数値のズレが、非正規雇用に関するデータでも生じているというわけやね。

 

 

◆数値のズレ 

例えば総務省労働力調査非正規雇用の数を調べると「役員を除く雇用者のうちの非正規」として1908万人(2013年7~9月平均)という結果になる。一方、同じ総務省の経済センサスでは「常用雇用者のうちの正社員以外」と「臨時雇用者」を足す必要があり、それによれば2040万人(12年2月1日時点)となり、100万人以上の開きが出る。

 

労働力調査や雇用構造調査などは雇用契約が有期か無期かを分けて調べるが、経済センサスや毎月勤労統計には区分がない。区分がなければ有期契約を繰り返して長く働く人を、正規雇用と見誤る恐れもある。

 

端的に言えば、省庁ごとに多数の統計が実施されているが、各々の統計ごとに定義が異なることが問題のようだ。

 

 ー契約の期間(有期か無期か)

 ー契約の形態(直接雇用か間接雇用(派遣など)か)

 ー労働時間の長さ

 この3つの要素をもとに、統計のやり方を全省庁統一で見直す方向だと報じている。 

  

 

◆統計は何のため

統計によって目的が違うので、定義が異なること自体は変なことではない。

ただ、政策立案を行う際には、立案の元となるデータに食い違いが出ることは、避けなければならないことだ。

 

統計の目的は、「データをとること」ではなく、「データを有効に使うこと」である。大ヒットした、「統計学が最強の学問である(西内啓)」でも同じ趣旨のことが、実例をふんだんに使い、繰り返し繰り返し述べられていた。

 

政府統計が自己目的化するのではなく、実際の政策立案に適切に活用されるようになる、その第一歩として、このニュースを歓迎したい。

 

 

◆さらに困難な統計国際比較

国内でも、統計データ定義の統一が新聞に大々的に載るという現状。

いわんや国際比較では、統計の定義が異なっているのでは?と、最初から疑ってかかる必要がある。

 

つい先日、ブログで韓国の労働事情を書こう!と思い、韓国の労働統計(非正規雇用関連)を調べていたのだが、 明らかに日本とはデータ区分けの定義が異なっていたのである。

 

国労働統計では、「常用労働者」と「臨時労働者」という区分をもって、非正規労働者の定義付けをしている。しかし、よくよくみると「常用労働者=雇用期間が無期 or 1年以上」という脚注が本の下の方に載っていた。

 

日本では非正規雇用とカウントされる有期雇用労働者の一部が、常用労働者としてカウントされている。単純に「常用労働者=(日本でいう)正規雇用」と脳内変換すると、痛い目に遭うというわけだ。

 

国際的に統計の定義を統一するという動きがあるのか全く知らないが、現状としては定義はバラバラであるのが普通なので、国際比較データを見聞した時は、まずそこに気を留める必要があると思った次第。

 

 

韓国の労働事情(NHK特集を参考)については、次回お送りするので、乞うご期待。

 

 

 

!!ばっ!!<おしまいの合図>!!ばっ!!