yamachan blog  (社会派うどん人の日常)

コシのつよいうどんのような、歯ごたえのある記事をお届けします。

「合コンのやり方で面接をやってみる」電通にドロップキック

世間にはびこる「就職活動は恋愛に似ている」 論

これに対して異議申し立てを行ったのが、前回のエントリー

 

今回は、「就職活動は恋愛に似ている」 論を採用イベントの中心に据えた、とある有名企業にドロップキックをかますこととしよう。

 

赤コーナーにそびえたつ企業。それは電通である。

 

 

ネットの一部界隈では有名な、はあちゅう氏(電通OG)のtwitterより。

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またまた~  釣りでしょ?と疑いつつ、

電通 採用 合コン」 [検索]⇒⇒⇒⇒

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ほんまやん(・_・;) 

天下の電通が、合コン体験を通じて面接のツボを教えてくれるそうだ。合コン体験を徹底するために、同性3名1組で応募という形とのこと。

 

合コンが苦手な自分には、まったく楽しむことができないであろう、このイベント。(もちろん週末エセ研究家としての参加であれば、乗り気になる。) 

 

 

HPからでは詳細な内容は分からないものの、私は断言する。

電通の採用担当は愚かである」

 

口汚い言葉を使うのはあまり性に合わないのだが、このような感情が湧きあがったことは紛れもない事実だから仕様がない。

  

自分の主張を述べる前に、取組みの意図を電通側に立って考えてみよう。企業側の狙いはなんなのだろうか? 

 

(1)変わった採用を行うことで、応募者の量と質を補充すること。

 

このような変わった採用イベントを企業が行う第一の理由は、応募者の補充である。

 

【ちょっと変わった】面白い選考方法取り入れている会社【就活】

(naverまとめ)

変わった採用イベントを行う企業はベンチャー系企業が多い。知名度のない企業が、就活市場で応募者の数を増やすために、「学生ウケ」しそうな取組みをおこなうことで企業に興味を持ってもらうことはよくあることだ。また、変わった採用を行うことで、通常のプロセスでは応募しないような学生に興味を持ってもらうという狙いもある。

 

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しかし、電通は紛れもないビッグカンパニーである。変わり種採用イベントを行わなくても応募者は湧いて出てくる。しかも、合コン採用イベントを行うことは、応募者の質を高めることにも寄与しない。なぜならそのような「チャラい」と捉えられかねないイベントに喜んで応募する学生は、すでに電通に興味を持っていると推測できるからである。

よって、応募者の量と質を補充することは、人事側の狙いではない。

 

 

(2)企業風土に合わない学生を排除するスクリーニングを行うこと。

前述したのは応募者を増やすということだったが、狙いはその逆ということも考えられる。応募者の選別・排除だ。

大企業ともなると、何万人もの学生が応募してくる。しかし採用に関わることのできる人員は限られているため。企業は効率のいい採用活動を行うために、敢えて応募者の数が絞られるような工夫をすることがある。たとえばいわゆる「学歴フィルター」。一定の偏差値未満の学校群を採用プロセスから切り捨てる手法である。

 

選別の基準は、学校名だけではない。他には、企業風土。企業の雰囲気に合うか否かも、採用面接で重要視される部分であるため、スクリーニングに用いても別におかしくはない。

「合コン採用イベントに対して嫌悪感を抱くような大学生は、電通に向かない。」と企業側が考えており、採用応募の前段階で、企業風土に合わない応募者を排除するための仕掛けなのではないか?という仮説はどうか。

電通のような広告会社には接待がつきもの。そして若手電通マンにとっては、合コンもつきもの。合コンのやり方と接待のやり方は同じだ!と中の人が考えていてもそうおかしくない。私自身がかつて在籍していた業界も接待が多いところで、合コンと仕事は同じや!だからお前はアカンねん…と言われたことがある。このような発想の社員は電通にも少なくないと思われる。

この仮説は当たらずとも遠からずだと思うのだが…

 

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電通側は、今回の採用イベントは採用と何の関係もないとしている。採用イベントに参加しなかったからといって、選考プロセスに移れないというわけでもない。ゆえに、厳密な意味では、壁のようなスクリーニングとしては機能しない。

だが、緩いスクリーニングにはなりうる。学生は採用イベント企画の印象を頼りに、応募の意思表示を決めることが多い。私のような生真面目な学生は、このイベントの企画に対して嫌悪感を抱くだろう。「雰囲気が合わない」といったような言語化しにくい感情は、その業界・企業に多少興味があるといった程度の低めの志望レベルであれば、選考過程に進まない選択をする十分な理由になる。

 

 

続いて、根源的な問いが浮かび上がってくる。

そもそも、電通はこのような企画に嬉々として喰いついてくる学生ばかりを欲しいのであろうか?答えはノーであろう。このイベントは選考プロセス外という位置づけになっている。「合コンが電通の企業風土であり非常に重要」だと人事が考えているのであれば、このイベントを選考プロセス上必須のものとしているであろう。

また、いくら電通といえども皆が皆、合コンと仕事は同じだ!(ドヤッ)というスタンスのはずはなかろう。

 

 

では、なんのためにこんな企画を立てたのか?中途半端すぎて狙いが全く分からなくなってくる。あくまで私の妄想なのだが、以下のような会話が企画会議でなされたように思えて仕方がない。

 

"採用でなんかおもろいことやったろか…大学生なら合コンに喰いついてくるだろ?ついでにOGのはあちゅうも呼んで、ネット世代に向けて、懐の広い会社イメージを植え付けるで!"

 

皆様はどう思われるであろうか?

私には、採用側の熱い想いも企業戦略的な狙いも、まるでこのイベントからは感じられない。それが私が感じる怒りの元である。

企業の採用は単なるイベントではない。ヒトとカネを投下して、将来の会社を担っていく者たちを採ってくる、企業戦略上の重要なプロセスである。電通にしたら、今回のイベントに関わるヒトとカネは量としては少ないかもしれない。しかし、企画に対して浅はかさを感じたポテンシャルある大学生たちもいるだろう。そのような学生は何も言葉を発さずに違う企業の面接を受けるだろう。本当に人事はそれでよしと思っているのだろうか。

 

「広告視点で考える合コンと面接」という企画を実行する電通人事部には、今回の企画を広告視点できちんと説明していただきたいものだ。あと6歳ほど若ければ、会場でドロップキックをかますことができたのに、非常に残念である。

 

 

!!ばっ!! <さらに 続く> !!ばっ!!