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yamachan blog  (社会派うどん人の日常)

コシのつよいうどんのような、歯ごたえのある記事をお届けします。

「いいひと。(高橋しん)」にみる20年前の人事的課題(その1)

自分が好きな漫画から20年前の人事雇用をプレイバックすることを試みようと思う。

 

題材は、「いいひと。(高橋しん)」

 

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「いいひと。」は、雑誌「ビッグコミックスピリッツ」に連載された高橋しん作の漫画。

底抜けの「いいひと」北野優二(以下、作中表記に準じ「ゆーじ」と表記)と、目の前に現れた「いいひと。」の存在に触発され(あるいは感化され、あるいは反発し、あるいは変わらないまま)ながら生きる、たくさんの人々の物語である。

ゆーじは北海道北海道出身の青年。高校・大学と陸上部の長距離走選手だった自分に夢を見させてくれた愛用のシューズの販売元、国内最大手のスポーツ用具メーカー「ライテックス」が好きだからと、上京して同社の面接を受ける。持ち前のお人好しぶりから様々な厄介事に巻き込まれて面接に遅刻したり、紆余曲折を経ながらも入社を果たす。そして入社後、新入社員を代表してスピーチを行うが、その場面で社長に苦言を呈す。その後、様々な思惑により、様々な部署を異動する事になるが、最初は不審がられたり反感を持たれたりしながらも、持ち前の人の好い性格で周りの人の心を動かしていく。(wikipediaより引用)

 

 ◇「いいひと。」との出会い

「いいひと。」をはじめて読んだのは、大学時代の部活合宿所の漫画部屋だった。その時から私はボート部員であるにもかかわらず走ることが好きだったので、ランニングの描写については真剣に読んでいた記憶がある。しかしそれ以外は案外さらっと読み流していた。

 

 

◇ポスト「島耕作」サラリーマン漫画という読み解き

時は過ぎ、とある企業の人事として働いている時に、再び古本屋でこの本を手にした時には大学時代とは違う感想をもった。

 

これは、ポスト島耕作のファンタジーサラリーマン漫画ではないか。

 

簡略化すると、「団塊の世代・肉食系・滅私奉公(島耕作)」に対して、「団塊Jr.・草食系・周囲の幸せ(いいひと)」という図式。

 

主人公のゆーじは、1993年に大学を卒業し、ライテックス社に入社する。1971年生まれということで、団塊Jr.の最先頭世代といったところ。

優しい彼は、周囲の女性にモテモテなのだが、浮気をちらつかせることなどない。ましてや島耕作のように枕営業のようなシーンはない。

また、彼の思考は、会社に対する滅私奉公とは相容れない。(島耕作も当初はお気楽サラリーマン路線だったものの、途中からは滅私奉公度合いが強くなっていく。)

 

島耕作」をざっと読んで、なんだか気持ち悪いなあと思ったクチの自分にとって、サラリーマン漫画としてフィットするのは、「いいひと。」の方であった。

 

 

◇1990年代人事雇用を映し出す鑑としての作品  

最近になって再読した際には、この漫画はまた別の側面から読むことができることに気がついた。1990年代人事雇用を映し出す鑑として。

 

この本が出されたのは1993年〜1999年。今も人事雇用のボトルネックとなっている問題が、「問題」として捉えられはじめたのがこの時期ではなかったか?

 

・ごく少数派であった女性総合職

過労死への会社対応

派遣社員という生き方 etc.

 

この漫画では、 主人公のゆーじを媒介者として、周囲のひとびとの働き方を描いている。当然、20年近く前のことなので、今から見ると時代錯誤的な面はあるだろう。

しかし、その時代にどのようなことが問題と捉えられ、どのような解決策が理想と捉えられていたのかを考えるのに、この題材はなかなか貴重だと思った次第である。

 

 

これから数回にわたって、『「いいひと。」にみる20年前の人事的課題』をシリーズでお送りする。乞うご期待!

 

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