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yamachan blog  (社会派うどん人の日常)

コシのつよいうどんのような、歯ごたえのある記事をお届けします。

国家公務員版「ゆう活」スタート:インセンティブなき働き方改革の行方

7/1  国家公務員を対象に「ゆう活」が始まった。

「ゆう活」とは、勤務の開始時間を早めて夕方には仕事を終え、生活を充実させる試みだと政府は説明している。

 

◯What's 「ゆう活」??

 

政府は働き方改革の一環として、勤務の開始時間を夏は早めて夕方には仕事を終え、生活を充実させる試みを「ゆう活」と名付けて1日から始め、今月と来月はすべての府省庁で原則として始業時間を1~2時間程度早めることにしており、民間企業などにも実施を呼びかけています。

安倍総理大臣は1日午前、総理大臣官邸で記者団に対し、「この『ゆう活』を、日本の長時間労働の慣行を変えるきっかけにしたい。私も、ぜひ、有効に活用したい」と述べ、働き方改革に向けて積極的に取り組む考えを示しました。

 

上記の引用で気をつけて読みたい部分は2カ所。

①原則として」始業時間を1~2時間程度早めることにしており

② 民間企業などにも実施を呼びかけています

 

①原則という言葉を見つけたら、例外があるんだなと考えるのが、お役所の基本。始業時間を早めるのは個々人の自主性に任せてあり、7〜8月のうち20日〜5日程度、始業時間および終業時間を前倒しする日を選択することとなっている。また、職業安定所など窓口業務が主たる職場では、顧客対応を優先する必要があるため、導入を見送っている。

 

②「ゆう活」は国家公務員の労働時間を前倒しする取組みだけを指しているのではなく、民間企業の自主的取組みを促したり、国家公務員よりも先に朝方勤務の取組みをはじめた企業の事例を紹介するなどしている。

 

 

◯朝方勤務の発端(伊藤忠商事の事例)

朝方勤務がフィーチャーされるようになったのは、2013年から総合商社の伊藤忠商事の取組みが成功事例として取りあげられるようになったことである。

目的は、「ゆう活」と同じく長時間労働体質からの脱却である。

・深夜勤務(22:00-5:00)の「禁止」、20:00-22:00勤務の「原則禁止」。但し、やむを得ず20:00以降勤務が必要な場合は事前申請の上、認める。

・早朝勤務時間(5:00-8:00)は、インセンティブとして、深夜勤務と同様の割増し賃金(時間管理対象者:150%/時間管理対象外:125%)を支給する。  7:50以前始業の場合、5:00-8:00の割増率を8:00-9:00にも適用。

・健康管理の観点から8:00前始業社員に対し、軽食を支給する。

 

ただ単に朝方にシフトしたからといって、朝だと電話対応をしなくてすむ時間が多少増えるくらいなので、それだけでは労働時間削減効果はそこまで大きくないだろう。朝方勤務とセットで業務効率化を行った結果が、労働時間の削減に結びついたものと思われる。

 

この取組みで評価すべき点は、朝方勤務をとることにインセンティブを設けたことである。所定労働時間以前の始業時間はサービス残業(←もちろん労働基準法違反)という会社も少なくない中、早朝勤務に対しては、割増賃金を通常の25%増で支払うようにした。また、早朝勤務社員に対して、軽食(大口出資先であるドール社のバナナなど)を支給するようにした。 

人事制度の改革は、社員をシラケさせないかという点が重要だと私は考えている。生活スタイルにかかわるような労働時間制度の改革は特にそうである。インセンティブを設けることにより、社員は人事部の取り組みに賛同し、業務改善に前向きに取り組んだのではないだろうか。

 

 

◯国家公務員版「ゆう活」は成功するのか

それに対して、国家公務員版「ゆう活」はどうか?

先行事例の伊藤忠との大きな違いは、インセンティブが皆無であることだ。

公務員は実直な人たちが大多数なので、やれと言われたら従うだろうが、シラケムードが蔓延する恐れは非常に高い。

私の職場を例に出そう。通常8時30分始業であるため、 「ゆう活」モードだと、7時30分始業となる。同僚職員の中には1時間30分以上の時間をかけて通勤している人も少なくない。となると、家を出発しなければいけない時刻は6時前である。

そこまで早起きして、1時間早く帰りたいと思うだろうか(反語)

他の省庁・部署でも同じような疑問を抱えながら早朝出勤する人は、無視していい程度の人数ではないだろう。シラケモードに入ったら、人事制度改革は頓挫する。何のための制度変更だったのか分からなくなり、本当にやらなければならない業務効率化はなおざりになってしまう。そのようなスパイラルに陥る可能性はかなり高いと、私は思う。

 

 

◯国家公務員版「ゆう活」はフレックスタイムの布石なのか?

 私見ではあるが、国家公務員版「ゆう活」は、フレックスタイム導入の布石なのではないかと思っている。実際に、今年の5月に人事院が国家公務員にフレックスタイムを導入するよう勧告に盛り込む方針であるという報道が複数の新聞社が報じている。

 

 

複数の異なる勤務時間帯の社員が同じ職場で仕事をするという点では、「ゆう活」とフレックスタイムは共通している。仮に実証実験だとすれば、あまりに説明が不足しているのではなかろうか。