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yamachan blog  (社会派うどん人の日常)

コシのつよいうどんのような、歯ごたえのある記事をお届けします。

「第25回HRmicsレビュー」残業は常識では減らせない

1月19日(木)に半休を取得し、いざ大阪梅田まで日帰り遠征。目的は海老原嗣生さん主催のセミナー「第25回HRmicsレビュー」への参加。

 

今回の講演テーマは「残業は常識では減らせない」

まさに今の自分の仕事の最重要課題であったため、開催案内を見た瞬間に遠征費をはたいてでも行くべきセミナーだと直感した。

 

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◯前半パート

HRmicsVol.25 で紹介されている「奈良県の働き方改善調査結果」 を元に、常勤正社員が長時間労働となっている本当の要因、長時間労働に対する施策は本当に効果があるのかetc.について、海老原さんが解説を行なった。

 

・日本型雇用で問題とされていた、女性の登用、年功序列などは変わってきているにもかかわらず、常勤正社員の労働時間は20年前から全く変わっていない。*1

長時間労働の本当の理由は、仕事量の過多と人員不足 。「周囲の人が残っているから」とか、「残業している方が評価が高くなるから」という理由を回答した者は極少数。

・人手不足を解消するには、今まで目を向けていなかったところに目を向ける。女性活用、活用している地域偏在が大きい外国人技能実習生、雇用調整助成金を活用するなど。*2

・労働時間把握施策(IDカードによる管理、ノー残業デー、長時間労働者に対する注意・面接指導など)が残業時間の削減に効く度合いは、ヒラ社員と管理職とで大きく異なる。

・昨今話題のインターバル規制や労働時間の上限規制だが、サービス残業が蔓延している現状では、法律だけを変えたところで効果は小さいかもしれない。

・法執行をいかに行うかがポイントだが・・・

 ①労働基準監督官の大増員(←即効性があるのはせいぜい定年再雇用の増員程度)

 ②欧州型の横断型労働組合による監視(←歴史に根付いたものなので即構築不可)

 ③米国型の民事訴訟制度拡充*3(←訴訟コストを社会が受け入れられるのか)

・日本特有の過剰サービス(対顧客・対上司)をいかに減らしていくかが、残業削減のポイント。断る力!

 

 

◯後半パート

巷で喧伝されている「血の滲むような効率化で残業ゼロ」といった企業とは違った考えで残業削減を実現している会社:クラシコムの代表と海老原さんとの対談パート。クラシコムは生活雑貨を販売するECサイトを運営している会社。

 

>ビジネスモデル

・ECはライフスタイルを提案する雑誌に買い物ボタンがついたような独自のものなので、大手生活関連企業の商品広告を掲載し、広告フィーを得ている。そのため通常のECサイトよりも広告費用がかからない。

・大口顧客に集中すると大量受注を断ることができないので、顧客を分散。同じ理由でリアル店舗も出店しない。楽天市場にも出店していたが安売り圧力が大きいため、撤退した。

 

>働き方

・生活雑貨という商材の特性上、社員の大半は女性。未経験から正社員採用が大半。

・働き方を効率化するためには、逆説的なようだが仕事を詰めすぎないことが大事。全力の70〜80%に留める。残りの部分は将来の投資に当たるような遊びの部分を自由にやらせる。本業が忙しくなった際には遊びの部分を振り替える。 

・資料形式や管理表を定式化するなど業務標準化を徹底させる。新たな業務を増やす場合には、社長の許可が必須。

 

 

◯質疑応答 

せっかく遠征してきたので、「労基署の中の人です」と名乗って質問することで周りの参加者をざわつかせてやろうと最初から思っていたのだが、前半パートの途中で海老原さんから「今日は監督署の人も来てますんでね〜」と先手を打たれてしまうの巻。

だが怯まず、いざ質問なり〜

 

Q.労基署の中の者です。

 

(↓ ↓ 周囲イメージ図)

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残業削減のために日々仕事をしていますが、監督官が会社の取り組みを変えさせることが重要だと思っています。会社の取り組みといっても2種類あります。1つは労働時間管理の方法(36協定の遵守、労働時間の見える化など)、もう1つは残業時間そのものの削減方法です。

特に後者について、対峙する企業の規模も業種も経営者の能力も多様な中、どうやったら会社に本気になって残業時間削減に取り組んでもらえるか、苦闘しています。相手を本気にさせる手法について海老原さんが思うところがあれば教えてください。

 

A.(海老原)

相手を本気にさせるには、ソリューションを提供するしかない。

例えば営業職の会社で営業人員の人手不足が要因で残業時間が偏っているという問題があったとする。

その会社では、事務職女性社員で営業に向いている者が数人いるとする。そこでそれら女性社員の同意を取って営業職に配置転換する。事務職の空きはどうするのかという問題は新規求人で容易に埋められる。なぜなら女性事務職の有効求人倍率は異常に低く、応募者多数であるから。

 

 

◯労働基準監督官の本業問題

自分の仕事観について迷いが生じている部分を質問して、"自分は間違っていない"と確認したかっただけだったのかなあ・・つまらぬ質問だったかなあ・・と後で少し反省してしまった。

 

「労働基準監督官の本業はなんなのか」

労働基準法、安全衛生法などの法律を遵守させ、働く人の生活と健康を守ること。ここまではどの監督官も同じ想いだと思う。

しかしながら、「法律を遵守させる」手法は多様である。

法違反の指摘をする、行政官として法違反を是正させる、悪質な違反については刑事的処罰を睨んで送検する。これが労働基準監督官の本業であろう。

 

では、労働時間削減の指導はどうか。ここ最近になって力を入れていた分野であり、未だどこまで何をやるべきなのか、職員によって意識のばらつきがある。

もちろん労働時間を削減するよう所定の様式に沿って書面指導を行うよう統一的指示がなされている。しかしこれは最低限の範囲。

本当に労働時間を削減するためには、企業のビジネスモデルをある程度理解し、長時間労働の要因を特定したうえで、労働時間を削減するソリューションを提供しなければならない。書面指導をして投げっぱなしでは絶対にいけない。そう思って自分も分からないなりに会社の実情を探ろうと聞き取りを行っているが、なかなか難しい。

しかもどこまでやるかは個々人のポリシーに委ねられている面があり、他人に自分のやり方を強要することまではできない。

 

ペーペー監督官として今できることは、長時間労働削減指導で自分なりの手法を確立させるべく1つ1つの案件を深掘りすることと、良い会社の事例を少しづつでもいいから広めていくことなのだろうと思う。

明日も仕事頑張ろう(´∀`)(´∀`)(´∀`)

 

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*1:リクルートワークス研究所の調査によると、常勤正社員の年間労働時間は約2,300時間とのこと。

*2:外国人技能実習生を活用している地域ほど、実習生の劣悪な労働環境について寄せられる相談が多いことを知っているため、私は大反対であるが・・

*3:残業代未払いの集団訴訟制度、懲罰的賠償制度、労働長官による民事訴訟提起など