yamachan blog  (社会派うどん人の日常)

コシのつよいうどんのような、歯ごたえのある記事をお届けします。

マック赤坂にも10度・20度・30度の魂?~迷作映画「立候補」~

*本エントリーは特定の政党・政策を支持するものではないことをお断りしておく。

 

「そうだ、選挙に行こう」シリーズ 第二弾!

 

あの、有名インディーズ候補マック赤坂主演の映画

「立候補」を見て、選挙に行こう!

 

f:id:world_end_1999:20130712110511j:plain

 

(*インディーズ候補=いわゆる泡沫候補のことだが、その呼び方だと彼ら・彼女を軽く扱っているようなので、カッコよく言い換えた言葉 byみうらじゅん

 

 

 

実は私、今週の平日5日のうち4日もマック赤坂に会うという、とんでもないウィークデイを過ごしてしまったのである。

赤坂で2回、渋谷で1回、

そして最後の極めつけの1回は劇場のスクリーンで。

 

 

多くの方はご存知だろうが、マック赤坂の選挙スタイルを理解していただくために、下の動画を見ていただきたい。

 

 

 

とても頭がイカれているとしか思えない。

スマイルセラピーってなんだよ。(基本コース100分×3回=8万円也)

なんでエアロビクスの格好をしているのだ?(しかも結構筋肉質…)

そもそもスマイルアピールしているのに笑顔が気持ち悪い!

 

 

ケルトワカッテ、ナゼ戦ウ?


だが、映画「立候補」というレンズを通して見ると、彼の戦略はある意味では、筋が通っているとも考えられるのである

 

どういうことか?

 

 

マック赤坂が訴えたいこと(政策以外)

彼の政策ははっきり言ってよくわからない。

ただ、映画を通して彼が一貫して怒っていたことがある。

 

それは…「候補者の扱いにおける格差」

 

 この映画は、橋下フィーバーに沸いていた2011年大阪府知事選挙が舞台になっている。その際に圧倒的優勢だったのが、大阪維新の会(当時)が擁立していた松井一郎(現:大阪府知事)であった。そのほかに有力候補とされていたものが2名。マック赤坂を含む残りの4名はメディアでは泡沫候補扱いだった。

公示直後の新聞では、有力候補の3名のみ大々的に政策とコメントが掲載され、残る4名はほぼ名前だけの掲載にとどまった。

 

彼は事あるごとに泡沫候補扱いされることに怒りを感じ、それを行動で表す。

 

選挙管理委員会に噛みつき

・彼を嘲笑う聴衆に噛みつき

・大聴衆を前に語る事のできる特権をもった橋下代表(当時)に噛みつき

 

 確かに公職選挙法では、政見放送やビラ等では候補者間の公平が担保されている。政見放送はどのような候補であっても同じ時間を与えられ、配布可能なビラの枚数上限も同じである。

しかし、彼が喝破したようにメディアの扱いはスタート地点から異なっている。この現状を仕方ないと見做すか、メディアは全候補者を完全に同じ扱いとするか、これは考え方が分かれるだろう。

 

だが、候補者の扱いが不公平であることに反発を覚えるということは、これは彼が本気で勝ちを目指していることの証である。決して遊びでやっているわけではない。

 

 

マック赤坂が奇妙奇天烈戦略をとらねばならない事情

なぜ彼は「ふつう」の政見放送をしないのか?

なぜ彼は「ふつう」に政策を語らないのか?

 

それは、泡沫と見做されたら最後、まともな事を語っても他の「まともな」候補者に埋没し、なかなか有権者は一票を投じてくれないと彼は考えているからである。

本気で勝つために、唯一公平な立場で戦うことが可能なフィールド=「政見放送」で、名前を覚えてもらうために奇抜な戦略をとっているわけである。

(ただ、存在自体がネタ化し、投票行動には結び付かないというジレンマを抱えてしまうのだが…)

 

 

◇他の候補者はマック赤坂を嘲笑えるのか?

マック赤坂は名前を覚えてもらうために、踊る。いつでもどこでも踊る。

警官に止められても、公安に睨まれてもバカの一つ覚えのように変なコスプレをして踊る。

 

映画ではそんな彼に対して、「政策を語れ!コノヤロー!」と突っかかる聴衆が多く出てくる。確かに、政策を語らないことに対して批判が出るのはごもっともである。

 

だが、他の候補者は街頭で政策を語っていると胸を張れるのだろうか?

ー惰性の挨拶・握手マシーンになってはいないか?

ー自分の政策ではなく、政党のマニフェストを棒読みするマシーンになってはいないか?

 

実はマック赤坂を嘲笑える資格のある、自分の声で政策を語ることに専念できている候補者は圧倒的少数派なのではないか?

そう、マック赤坂は、政策本位ではなく名前を覚えてもらうことが最優先事項となってしまった日本の選挙運動が生みだした鬼子なのである。

 

 

有権者マック赤坂を嘲笑えるのか

物語のクライマックスは、大阪府知事選から1年後、2012年12月の衆議院選挙。

ここでもマック赤坂は、全く懲りずに勝てるはずもない戦いに挑んでいる。

決戦の地は秋葉原自民党の総裁、安倍晋三の応援演説に便乗して自己アピールを試みる。

 

周りを囲むのは日の丸を掲げたいわゆる「ネトウヨ」の大群衆。

彼ら(*ほぼ男性であったので彼らと記す)はマックをゴミ扱いし、” 帰れ・死ね! “とシュプレヒコールをあげる。

 

私には、この時の映像からおぞましさしか感じられなかった。

 

マック赤坂のおかしなパフォーマンスを笑うのは結構。(本人もスマイル推進だし)

だが、誰も彼を無作法に嘲笑うことはできないはずなのだ。

金持ちの道楽と言われようと、スマイルセラピーの宣伝と言われようと、300万円の供託金を払い、大バッシングの中で堂々とできる人間がそうそういるものではない。

その一点に関してのみ、私は彼を評価せざるを得ない。

 

マック赤坂にも10度・20度・30度の魂があるはずなのだ。

(ただ、投票するかどうかは全くの別問題だが…)

 

 

◇まさかマック赤坂で泣けるとは…

この映画にはなんとマック赤坂の息子が登場する。

(まず、結婚してたのかということに軽く驚き…!)

 

選挙狂いになってしまった父親に反発を覚えつつも、彼を受け入れる過程が鮮やかに描かれている。息子目線で見ると泣ける映画なのだ…

内容はネタバレになってしまうので、是非自分の目で確認していただきたい。

 

==================================================================

マック赤坂で泣き笑いしたい人は!

映画「立候補」を見て、選挙に行こう!

全国13館で上映中。

東京にお住まいの方は、ポレポレ東中野 @東中野へ急げ!*7/20(土)まで!