自民党 ブラック企業対策の虚しさ~ワタミ会長擁立~
今夏の参院選比例代表区にワタミ会長の渡邉美樹氏が立候補するとのこと。推薦は与党の自民党。
(共同通信)http://www.47news.jp/CN/201305/CN2013053101002236.html
立候補は各人の自由なので、敢えてそこに文句は言わない。
ワタミ会長の経営手腕には評価すべき部分もあるかもしれないし、農業・介護の問題に取り組んでいただけに、一家言あるのだろう。
しかし、自民党は参議院議員選挙の公約に「ブラック企業」の社名公表を盛り込むことを検討していると報じられており、個人的に注目していたのだ。
(共同通信)http://www.47news.jp/CN/201304/CN2013040801002685.html
ああ、それなのに…ブラック企業だけに、ブラックジョークか?!
これで自民党の労働問題施策は何一つ信じられなくなった。
「ワタミ=ブラック企業」というのは、労働問題に少しでも関心のある方、ネット民(特に若年層)には共通認識だと思うが、えっ…そうなの?という方もおられるかと思うので、過労死訴訟の記事を以下引用する。
(毎日新聞の記事転載Blog)
http://blog.goo.ne.jp/19681226_001/e/7382f995f5e9f647e94aac1ade225a20
過労死だけをもって、「ワタミ=ブラック企業」と言いたいのではない、ワタミ会長は過労死を起こしてしまったことに対して責務を感じていないことが大問題なのである。以下引用。
”(渡邉)労災認定の件、大変残念です。四年前のことを昨日のことのように覚えています。彼女の精神的、肉体的負担を仲間皆で減らそうとしていました。労務管理できていなかったとの認識は、ありません。”
労務管理できてないから、過労死が起こったんだろ!!いい加減にしろ!
私はブラック企業を「労働法規違反状態を改善する気のない企業」と考えている。
残念ながら多くの日本企業は、労働法規に違反している。サービス残業=賃金不払い残業問題はその典型である。だが、まっとうな企業は経営者・人事が正常な状態に戻すべく努力している。漸進的ではあるが成果の出てきている企業もあるだろう。
しかし、ワタミは全く違う。過労死を起こしても労務管理ができていたと言い張るのであれば、ブラック企業と呼ばれてネットで叩かれても仕方ない。
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だが、ここで冷静になって擁立した自民党の責務を考えてみる。なぜ自民党は「ブラック企業公表」施策を進めるといいながら、ワタミ会長を擁立したのか?
<仮説>
過労死訴訟等に対する、ワタミ会長の発言を知らない、もしくは知っていても労務問題だと考えていない。
→前者であればブラック企業公表をぶち上げておきながら余りにお粗末な人選、後者であれば誠に論外である。
②自民党はワタミをブラック企業だと見做しているが、それで票を失うことはないと目算している。
→渡邉氏は比例代表候補として選挙戦を戦う。参議院の選挙は非拘束名簿式である。
有権者は政党または立候補者のいずれかに投票。個人名が書かれた票は、その者が所属する政党の得票となり、それに応じて政党の議席数が決定する。そして当選者の決定は、個人票の得票数に応じた順位付けが元になる。
「ワタミ=ブラック企業」と思っている無党派層は、自民党に票を入れることに躊躇するだろう。
しかし、「ワタミ=ブラック企業」という認識を持っている有権者は実はかなりの少数派なのかもしれない。その証拠として、インターネットで「ワタミ 過労死」と検索してみよう。そのほとんどは2chまとめブログやtwitterなどに行きつく。対して、新聞やテレビなどのマスメディアでは、あまり報道されていない。先ほど引用した記事はレアものだったのかもしれない。
日本の有権者の多数を占めるのは高齢者。彼・彼女らが「ワタミ=ブラック企業」と日々喧伝しているメディアに日常的に触れているとは思えない。寧ろ介護・宅食などでイメージは悪くなく、トータルでは自民党の票を増やすことも大いにありうると私は考える。自民党の選対はそのように冷徹な判断で彼を候補者にしたのかもしれない。
政治は票を取ってなんぼである。しかし、ぶち上げた政策と相反する候補者を立てるほど愚かな自民党に対しては怒りの感情を通り越してため息しか出ない。。。