【複雑怪奇】 公務員の労働法適用(後編)
では、前回に引き続き、公務員の労働法適用について。
!後編は、「労働組合法」!
<労働組合法>
◆労働組合法の適用
いわゆる現業職・独立行政法人職員のみ、労働組合法の適用がある。(現業/非現業については、前回を参照)
それ以外の職員は、国家公務員法・地方公務員法によって、労働基本権(団結権・団体交渉権・争議権)が規定される構成である。
では、これ以降は一般職など(いわゆるお役人や教職員など)にフォーカスしよう。
一般職(いわゆるお役人)の欄の△印。これなんぞ?
よって労組法によって保護された「労働組合」を結成することはできない。
えっ…右派陣営に叩かれている教職員組合「日教組」。あれは、労働組合じゃないの…??
そう、労働組合法によって保護された「労働組合」ではないので、「職員団体」という名称となっている。よって労組法上認められているが、職員団体には付与されていない権利もある。(後述)
◆団体交渉権…使用者と労働条件について交渉し、労働協約を締結する権利
ここの△印は、労働協約締結権がないことを示している。つまり、上述の職員団体は、労働条件について使用者と話し合うことは出来るが、労働協約という労使自治で決定することはできない。
労使自治ではなく、法律や条例によってワークルールが決定される。また、国家公務員の給与については、人事院が民間給与を調査し、国会に対する勧告をするというプロセスが、立法過程に加わることになっている。
ストライキ等を起こすことは、公共のために働く公務員には許されざることとして、職種区分にかかわらず禁止されている。
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◇労働協約権付与という公務員改革のテーマ
20年近く「公務員改革」が叫ばれ続けている気がするが、マスコミに取り上げられるのは、人事の流動化や天下り規制などの、分かりやすいテーマである。
しかし、ひっそりと「労働組合法」のなかの「労働協約締結権」を一般公務員にも認めるという議題もこの公務員改革に含まれている。
発端は、2002年に国際労働機関であるILOが、「労働三権を付与していない日本の公務員法制はおかしい」と勧告を出したことである。だが今にわたるまで法改正はなされず、複数回の勧告を受けている。
労働協約締結権を付与することで、なにが変わるか?と言われても、すぐに明確に変わるものはないかもしれない。
だが、「公務員=国家の下僕→公務労働について前向きに話し合いをすることができない」というような図式ではなく、「公務員も一労働者」として、適切な労使協議を行っていく大きな土台となるのではないだろうか。
!!ばっ!!<おしまいの合図>!!ばっ!!