取り戻せ!サービス残業代 『国家公務員編』
日本では賃金不払い残業(いわゆるサービス残業)が横行している。
民間に限らず、お役所でも同じ事が起こっているようで…
霞ヶ関の中では、特に厚生労働省がひどいらしい。
国民の健康と労働環境を守るお役所である厚労省。そこが本省のうちで残業時間トップクラスで、裏では「強制労働省」と呼ばれている事は、そこら界隈の人々では有名なお話。
<参考>国家公務員の組合による調査
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こんなデータを見ていると、
“ 労基署ってお役所に立ち入り調査できるんだろか?” 素朴な疑問がむくむくと。
というわけで、まずは公務員に対する労基法違反の取締りについて調べてみた。
前々回のエントリと併せて読んでいただきたいのだが、現業/非現業で扱いが区分されており、現業の公務員には労基署は立入可能である。市立病院なども監督の対象。
対する非現業の国家公務員には、労基官の警察機能は及ばない。
つまりサービス残業が横行していても、労基署には取り合ってもらえない。
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まさかお国のお役人は、賃金不払い残業に対して、泣き寝入りするしかないのか??
ここで、公務員に適用される、時間管理に関する法律・規則に立ち戻って考えてみよう。
一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律
5条(所定労働時間)
職員の勤務時間は、休憩時間を除き、1週間当たり38時間45分とする。
13条(残業規定)
1項:各省各庁の長は、正規の勤務時間以外の時間において職員に設備等の保全、外部との連絡及び文書の収受を目的とする勤務その他の人事院規則で定める断続的な勤務をすることを命ずることができる。
2項 :各省各庁の長は、公務のため臨時又は緊急の必要がある場合には、正規の勤務時間以外の時間において職員に前項に掲げる勤務以外の勤務をすることを命ずることができる。
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・週40時間を超える労働を原則禁止
・過半数組合or過半数代表による労使協定によって残業可能になる
残業は例外だという労基法の「タテマエ」が国家公務員には効かないことに留意。
人事院規則15-1(超過勤務を命ずる際の考慮)
16条:各省各庁の長は、勤務時間法第13条第2項の規定に基づき正規の勤務時間以外の時間において職員に勤務することを命ずる場合には、職員の健康及び福祉を害しないように考慮しなければならない。
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長時間労働に対する歯止めは、労働法でいう安全配慮義務(のようなもの)がベースになっている。それに加え、給与法にて時間外労働に対する割増賃金が規定されている。(労基法と内容はほぼ一致)
では、賃金不払い残業があった際の法規定はどうなっているのだろう。
冒頭のように、賃金不払いがあっても労基署に申し立てすることはできない。
中央官庁が行政指導されることも、ましてや刑事責任を問われることもない。
そうだ、行政指導が効かないのなら、訴訟を起こすのだ!
114条:裁判所は、第二十条、第二十六条若しくは第三十七条の規定に違反した使用者又は第三十九条第七項の規定による賃金を支払わなかった使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。ただし、この請求は、違反のあつた時から二年以内にしなければならない。
サービス残業代を取り戻すことはできないのか…絶望的になってきたぞ。
だが、訴訟を起こすことは可能な模様。
twitterランドで、霞ヶ関の中の人が答えてくれました。
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労基法の一般法である民法を元に訴訟を起こすというわけですね。
ただ、ものすごく労力がかかりそう…民間よりも反発も強いだろうし…
結論
非現業国家公務員(一般職)が サービス残業代を取り戻すことは不可能ではないが、民間に比べると救済措置が限られておりハードルが相当高い。
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来年から晴れて労働基準監督官となる予定の私。
労基法違反を取り締まる側がサービス残業をしているという状況になったらしゃれにならないからな…。当たり前だが、働いた分はもらうからな! ガハハ。
!!ばっ!!<おしまいの合図>!!ばっ!!